COLUMN コラム

量産直前で発覚するインサート周りのウェルドライン|強度不足を見抜く「引き算」の視点

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  1. ■ インサート周りのウェルドラインでこのようなお悩みはありませんか
  2. ■ インサート周りにウェルドラインが発生する理由
  3. ■ 形状を追加するだけでは強度不足を解決できないことがあります
  4. ■ 強度不足を防ぐために必要な「引き算」の視点
  5. ■ 製品設計と金型設計を一体で考えることが大切です
  6. ■ インサート成形用金型の設計・製作はご相談ください
インサート成形では、金属部品の周囲を樹脂が回り込むことで、ウェルドラインが発生することがあります。

外観上は小さな線に見えても、発生する位置によっては、締結時の割れやインサートの抜けなど、強度不足につながるため注意が必要です。

強度を高めるためにリブや肉厚を追加する方法もありますが、形状を増やすことで樹脂の流れが複雑になり、かえってウェルドラインの状態を悪化させる場合があります。

この記事では、インサート周りにウェルドラインが発生する理由と、形状を追加するだけではない「引き算」の考え方について解説します。

■ インサート周りのウェルドラインでこのようなお悩みはありませんか

「インサート周辺に線状の成形跡が発生している」

「締結試験を行うと、インサートの周囲から割れてしまう」

「補強のためにリブを追加したが、十分な強度が得られない」

「試作では問題がなかったのに、量産直前の評価で不具合が見つかった」

インサート周辺は、樹脂の流れが分かれて再び合流しやすい場所です。そのため、製品形状や金型構造によっては、強度上の弱点となるウェルドラインが発生します。

■ インサート周りにウェルドラインが発生する理由

ウェルドラインとは、金型内を流れる樹脂が二つ以上に分かれたあと、再び合流する場所に現れる線状の跡です。

金型内にインサートが配置されている場合、樹脂はインサートの手前で左右に分かれ、その裏側で再び合流します。

このとき、樹脂の温度が下がっていたり、十分な圧力が伝わっていなかったりすると、合流部分が完全になじまず、強度が低下することがあります。

また、ウェルドラインの状態は成形条件によっても大きく変化します。金型設計だけでなく、実際の成形時における「樹脂速度」「樹脂温度」「金型温度」「成形圧力」などの成形条件を適切にコントロールし、樹脂のなじみ(融合)を促すことが強度確保の極めて重要な要素となります。

インサート周辺には、ねじの締め付けや引き抜きによる荷重も加わります。ウェルドラインと荷重が集中する位置が重なると、割れや抜けが発生しやすくなります。

■ 形状を追加するだけでは強度不足を解決できないことがあります

インサート周りの強度が不足した場合、肉厚を増やしたり、リブを追加したりする方法が考えられます。

リブとは、樹脂部品の剛性を高めるために設ける板状の補強形状です。

リブや肉厚の追加によって強度が向上する場合もありますが、追加した形状が樹脂の流れを遮ることもあります。

樹脂の流れがさらに細かく分かれると、新しいウェルドラインが発生したり、合流位置が強度上好ましくない場所へ移動したりする可能性があります。

また、局所的に肉厚を増やすと、冷却時間や収縮量に差が生じ、ヒケや反りなど、別の成形不良につながることもあります。

そのため、形状を増やせば必ず強度が上がるとは限りません。インサート部の強度を検討する際には、単純に肉厚を増やすだけでなく、鋭いエッジ部にR(アール)を設けて応力集中を抑えたり、必要に応じて応力を分散させる形状を検討したりすることも重要です。

■ 強度不足を防ぐために必要な「引き算」の視点

ここでいう「引き算」とは、必要な形状まで単純に削ることではありません。

樹脂の流れを妨げている段差や壁、過剰なリブなどを見直し、樹脂が自然に流れやすい形状へ整理する考え方です。

つまり、形状をただ減らすのではなく、不要な形状は見直しながら、Rや応力を分散するための形状など、強度確保に必要な要素は適切に設けることが重要です。

例えば、インサート周辺に次のような形状がないかを確認します。

・急激な肉厚変化
・樹脂の流れを遮る段差や壁
・インサートに近すぎる穴やボス
・過剰に配置されたリブ
・局所的に厚くなっている部分

これらの形状を見直すことで、樹脂の流れが単純になり、ウェルドラインの位置や状態を改善できる場合があります。

ウェルドラインを完全になくすことが難しい製品では、荷重が集中しにくい位置へ移動させることも選択肢の一つです。

その場合は、製品形状だけでなく、樹脂を金型内へ流し込む入口であるゲートの位置もあわせて検討します。

■ 製品設計と金型設計を一体で考えることが大切です

ウェルドラインによる強度不足が量産直前に見つかると、製品形状やゲート位置の変更が必要になることがあります。

金型完成後の変更は、追加工や部品の作り直しにつながり、納期やコストにも影響します。

そのため、設計段階からインサート周辺の樹脂の流れを想定し、ウェルドラインがどこに発生するかを確認することが大切です。

具体的には、製品設計の段階で流動解析を行い、ウェルドラインが発生すると予想される箇所をあらかじめ把握します。その結果を参考に、金型設計の段階でゲート位置を検討することで、強度上問題となる位置にウェルドラインが発生するリスクを抑えやすくなります。

もちろん、解析結果だけでなく、使用する樹脂、インサートの形状、成形条件、製品に加わる荷重なども含めて総合的に判断する必要があります。

■ インサート成形用金型の設計・製作はご相談ください

インサート周りの強度は、単純な肉厚や樹脂量だけで決まるものではありません。

樹脂の流れ、ウェルドラインの位置、荷重のかかり方を整理したうえで、製品形状と金型構造を検討する必要があります。

当社では、射出成形用金型の設計・製作に対応しています。

インサート周辺の割れや強度不足、ウェルドラインの発生位置などでお困りの場合は、お気軽にご相談ください。


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メタディスクリプション

インサート成形で発生するウェルドラインの原因と強度不足への対策を解説。リブや肉厚を追加するだけでは解決できない理由や、樹脂流動・ゲート位置・製品形状を踏まえた『引き算』の設計について紹介します。