COLUMN コラム

【保存版】金型材質の選び方:プリハードン鋼と焼き入れ鋼、製品の成否を分けるポイントとは?

金型バナー8
  1. その金型、本当に量産計画に合った「鋼材」を使っていますか?
  2. 「鉄」なら何でもいいわけではない。金型材質選びの「4つの柱」
  3. プロが使い分ける「2種類の鋼材」とそのスペック
  4. 材質の最適化が、量産の「未来」を変える
  5. 製品に最適な金型材質、プロと一緒に選びませんか?
プラスチック製品の品質と生産コスト。
その両方を根底で支えているのは、金型の「材質(鋼材)」だということをご存じでしょうか。

熱い樹脂が金型に流し込まれ、形作られる過酷な環境。
そこで均一な品質を守り続ける使命を果たしているのが、金型を構成する「鋼(はがね)」です。
しかし、この鋼選びを間違えると、量産が始まってから思わぬトラブルに見舞われることになります。

その金型、本当に量産計画に合った「鋼材」を使っていますか?

「数万回の成形で金型が摩耗し、製品の寸法がバラつき始めた」
「腐食性ガスが発生する樹脂で、金型が錆びてメンテナンスが止まらない」
「鏡面仕上げが必要なのに、鋼材の硬度が足りず表面が荒れてしまう」

もし一つでも心当たりがあるなら、それは金型の材質選定が、
製品特性や量産ショット数と合致していないサインかもしれません。

「鉄」なら何でもいいわけではない。金型材質選びの「4つの柱」

一般的にプラスチック金型には「鋼(鉄に炭素などを添加した合金)」が使用されますが、
添加物の種類と量でその性質は劇的に変化します。

「コスト重視で一番安い鉄を」という安易な判断は、量産段階での大きな落とし穴になります。
適切な鋼材を選ぶには、以下の4つの要素をバランスよく検討しなければなりません。

耐久性(剛性): 想定されるショット数に耐え、摩耗を防げるか。
腐食性(耐食性): ガスや錆による金型ダメージをどう防ぐか。
加工性(被削性): 金型製作時の精度と生産性を維持できるか。
材料コスト: 予算と性能のベストバランスをどこに置くか。

プロが使い分ける「2種類の鋼材」とそのスペック

金型鋼材には、大きく分けて「プリハードン鋼」と「焼き入れ焼き戻し鋼」があります。
今回、具体的なスペック表に基づき、その違いを解説します。

1. プリハードン鋼(バランス型:HRC32前後)
製鋼メーカーで予め熱処理(硬度向上)が施されているため、そのまま加工しても切削性が良好です。

・HPM7(SCM改良): 溶接性・被削性重視。自動車や家電、住設製品に広く使われます。
・HPM38(SUS420J2改良): 耐食性重視。透明品(医療・食品)や、腐食性の高い樹脂、ゴム型に適しています。
2. 焼き入れ焼き戻し鋼(高硬度・高品質型:HRC50〜65)
加工後に改めて焼き入れ処理を行うことで、極限まで硬度を高める鋼材です。

・HPM38 / HPM38S: HRC50〜60の硬度を持ち、ケース類から超鏡面仕上げが必要なディスク、レンズまで対応します。
・HPM31 / HAP10: HRC60〜65に達する超高硬度。耐摩耗性が求められる精密エンプラ(ギヤ、コネクタ、ICモールド)の量産に不可欠です。

材質の最適化が、量産の「未来」を変える

想定ショット数が数万回程度であれば、加工性に優れたプリハードン鋼がコスト効率も良く最適です。
しかし、数百万回の成形を繰り返す精密部品や、超鏡面が求められる光学製品であれば、
高硬度な「焼き入れ焼き戻し鋼」でなければその品質を維持し続けることはできません。

適切な材質選定は、初期の金型費用だけでなく、
量産時の歩留まり向上、メンテナンス費用の削減、そして金型寿命の延長に直結します。

製品に最適な金型材質、プロと一緒に選びませんか?

私たちは、製品の生産数、樹脂の特性、そしてご予算に合わせ、
長年の経験に基づいた最適な鋼材と熱処理方法を提案させていただきます。

「耐久性とコストのバランスを相談したい」
「この樹脂に適した耐食性の高い鋼材はどれか?」
「顧客予算内で最高の寿命を持つ材質を提案してほしい」

そのような疑問やご要望があれば、ぜひ設計段階からご相談ください。
貴社の製品にとってベストな「鋼」を選び抜き、安定した量産体制をサポートいたします。


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プラスチック金型の品質・生産コストを左右する重要要素が「鋼材(材質)」です。金型材質の選定を誤ると、摩耗・腐食・寸法不良など量産トラブルの原因となります。本記事では、プリハードン鋼(HRC30前後)と焼き入れ焼き戻し鋼(HRC50以上)の違いを比較し、ショット数・樹脂特性・製品要求に応じた最適な選び方を解説。耐久性、耐食性、加工性、コストの4つの観点から、金型寿命の延長とメンテナンスコスト削減につながる材質選定のポイントを紹介します。精密部品、光学製品、医療用途など高品質が求められる現場にも対応。