プラスチックの「クリープ」や「耐クリープ性」について
大量生産を行う部品は、一般的に「機械」を用いて生産されています。インサートナットも特殊なものを除き、機械で生産されていますが、生産する機械にはそれぞれ異なる特徴があるのです。そこで、インサートナットを生産している機械の特徴について解説します。
プラスチックの「クリープ」とは?
プラスチックにおける「クリープ」とは、荷重をかけつづけることによって変形が起こる現象のことをいいます(コールドフローともいう)。
クリープには3つのパターンがあります。
1.回帰:荷重を開放すると変形がある程度は戻る状態
2.永久変形:荷重を開放しても変形が解消されない状態
3.破壊:クリープが過度に進行して破損してしまう状態
クリープの発生と程度は、使用している材質やかけている荷重の大きさ、温度などの環境条件などによって異なります。
そのため、同じ材質でも荷重や温度などの条件が異なれば、クリープ発生の有無やクリープのレベルも異なるということです。
プラスティックの「耐クリープ性」とは?
「耐クリープ性(耐クリープ特性)」とは、プラスチック素材における特性の1つであり、この特性が高い水準であるほど「クリープが発生しにくい」ことを意味します。
プラスチック素材においては「熱硬化性樹脂」と「熱可塑性樹脂」の2種類において、前者の方が耐クリープ性において優れています。
プラスチック部品のクリープ対策の重要性
プラスチック部品を製造するにあたって、耐クリープ性に優れていることは重要なポイントの1つとなります。
プラスチック部品を使った製品は、使用条件や使用環境によってさまざまな力がかけられ、これがプラスチック部品にも影響します。
例えば、プラスチック製の衣装ケースの上に重いものを置いておいたら、いつの間にか弓なりに変形していたという経験をした人は珍しくないと思いますが、簡単に言えばこれがクリープです。
プラスチック製の小さな部品においても同じことがいえるため、どういった製品のどの部分に使用している部品であるかにもよりますが、使用条件次第では大きな負荷がかかり、それが継続することで変形や破損を起こす可能性があります。
1つの部品で変形や破損が起こるだけで、製品全体の機能不全や故障の原因になる可能性も否定できないのです。
すべてのプラスチック部品において耐クリープ性が絶対的に求められるわけではありませんが、高品質なプラスチック部品やプラスチック製品を製造するにあたって無視できないステータスであることは間違いありません。
エンプラの問題点
エンプラやスーパーエンプラの欠点は、汎用プラスチックと比較して高コストになることです。
エンプラよりもスーパーエンプラ、中でも高性能な素材ほど高コストになる傾向にあり、何にでも無条件に高性能なエンプラを使えば良いというわけではないのです。
素材の高コスト化は製品の価格を引き上げる要因になるため、使用する部品に求める性能を満たす中で可能な限り低コストな素材を選ぶことが重要なポイントになります。