注目されている「海洋プラスチック」の問題

  • 注目されている「海洋プラスチック」の問題
  • 意図しない海洋放出に対する生分解性プラスチックの魅力
  • 海洋プラスチック問題に対する生分解性プラスチックの課題


注目されている「海洋プラスチック」の問題


昨今、海洋汚染につながるトピックとして「海洋プラスチック」が問題視されています。
SDGsにおいても海洋汚染対策は重要視されており、いわゆる「脱プラスチック」の動きが活発になっています。
しかしながら、環境省が発表しているデータによると、プラスチック類の漂着ごみのうち、割合で言えば「漁網」などの漁具がトップに位置しているのです。
昨今、レジ袋の削減が注目されているものの、このデータではポリ袋の漂着ゴミとしての割合は1%にも満たない数値となっています。
つまり、海洋プラスチック問題で劇的な効果を期待したいのであれば、海に関係するプラスチック製品に対するアプローチが重要なのです。




意図しない海洋放出に対する生分解性プラスチックの魅力


漁具のように、漁の作業の中で意図せずに海洋に放出してしまうケースが少なくないジャンルにおいては、プラスチックを減らすことよりも「放出しても問題ないプラスチックに置き換える」というアプローチが重要です。
そのカギを握るのが「生分解性プラスチック」になります。
生分解性プラスチックとは、自然界に存在する微生物の力によって、水と二酸化炭素に分解される性質を持ったプラスチックなのです。
釣り糸や漁網などの非耐久財としてのプラスチック製品のように、アクシデントによって意図せずに海洋放出されるプラスチックの場合、生分解性プラスチックの性質が役にたちます。




海洋プラスチック問題に対する生分解性プラスチックの課題


生分解性プラスチックによる海洋プラスチック問題へのアプローチには、大きく分けて3種類の課題があります。
1つ目は「水環境での分解可能な生分解性プラスチックは限られている」ことです。
一般的に生分解性プラスチックは「水」「コンポスト」「土壌」での分解が主流ですが、海洋のような水環境下で分解される生分解性プラスチックは一部の素材に限られています。
2つ目は「通常の環境下での非分解性の確保」です。
漁具を、水環境での生分解性が進むプラスチックに置き換えるとなると、通常使用する中で分解してしまっては問題外となります。
そのため、分解完了までにかかる時間等で調整する必要があります。
3つ目は「部制の安定性を確保する」ことです。
一般的に生分解性プラスチックは、通常のプラスチックよりも物性が不安定であり、プラスチックに求められる性能を満たせなくなる可能性があります。
この点は、今後の技術革新に期待したいところです。